玉葱の原産地である中央アジア、西アジアは、乾燥した砂漠が広がり、寒暖差が大きく、植物が育つには厳しい自然環境でした。
玉葱が、厳しい自然環境の中で発芽して生存していくためには、丸いりん茎に水分と栄養分をたくさん蓄えて、生育に適した時季が来るのを休眠してじっと待つ必要がありました。玉葱が丸いのは、原産地での厳しい環境を生き抜く知恵だったのです！

玉葱は収穫時期が近付くと、葉がバタバタと自然に倒れていきます。 葉の倒伏は玉葱収穫のサインなのです！
ではなぜ葉が倒れるのでしょうか？
玉葱は葉の数を増やしながら、玉が肥大していきます。玉の肥大充実が進行し、葉の数が増えなくなると、葉鞘部が空洞化していきます。この空洞化によって、葉自身の重さを支えきれなくなり倒れます。これは玉が成熟した印です。
玉葱の収穫は晴天の日に行います。葉が倒伏してから1週間後の、よく晴れた日が収穫日和になります。

切ったり、つぶしたりして、玉葱の細胞が壊れると、硫黄を含む成分の「イソアリイン（硫化アリル）」という刺激性の物質に変化します。これが辛味やにおいのもとです。気体になりやすいので、時間が経つと揮発して辛味を感じにくくなります。また、水に溶けやすいので水にさらすと辛味は少なくなります。
加熱するとなぜ甘くなるのでしょう？玉葱にはもともと、イチゴと同じくらいの甘味成分が含まれています。玉葱を加熱すると、辛み成分が抜けて甘味が引き立つようになるので、甘く感じるのです。

涙が出る原因は、日本の研究グループによって発見された「LFS」という酵素が深く関わっているそうです。玉葱を切ると細胞が壊され、「LFS」などの酵素によって「プルパンチアールS―オキシド」という成分ができ、この成分が目と鼻を刺激し、涙が出ます。
玉葱の加工工場では、ゴーグルやマスクによってこの刺激を防いでいます。

辛味成分である硫化アリルが変化したアリシンには殺菌作用があります。一説には、古代エジプトでミイラを作るときに玉葱が使用されていたそう。ミイラの目のくぼみや両脇に玉葱を詰めて、死者があの世に行っても生前の姿のまま蘇るようにという願いが込められていたそうです。殺菌効果と防腐効果は当時から認知されていたといえます。

玉葱には、犬や猫にとって毒になる「アリルプロピルジスルファイド」という成分が含まれています。犬や猫が玉葱を食べると、この成分によって血液中の赤血球が壊され、貧血を起こしてしまいますので、犬や猫にはあげないようにしましょう！
ちなみに、この成分は人間にとっては毒ではありません。

実は、すべて玉葱が自分の身を守り生き抜くための知恵なのです！
玉葱は、動物や病害虫から自分の身を守り子孫を残すために、辛み成分や涙を出す成分、動物には毒となる成分を備えたのです。